里咲りさというおもちゃ箱
アイドルには顔から入りますか?それとも音楽から?
顔からの方が大多数なのだろうか。私は音楽から入る、ましてや音楽しか聞かないアイドルもいたりしする。初期スマイレージがすごく人気だったのに、スマイレージ二期が入ったころから人気が落ちてきたことを考えると、やっぱり顔って大事なんだろうか。
スマイレージ二期はかわいいです。
とはいえ音楽だよ。音楽は魔法なんだから。
命を燃やしているアイドルたちが音楽という魔法を使っている。とても心が惹かれる。「最近の~は」みたいなの嫌いだが最近のバンド界隈は命を燃やしている感覚が薄いというか、どこもそつなくこなしてる感がある。
命を燃やして音楽を作り、歌うアイドル
それが里咲りさ。
アイドル兼シンガーソングライター兼、少女閣下のインターナショナル兼運営兼フローエンタテイメント代表。
それが里咲りさ。
長えよ!
長い。本当に長い。要するにアイドルやりながらシンガーソングライターもして、なおかつ運営もやる社長。
全然要せないよ長いよ。
また経歴も面白くて、
早稲田大学に入った後中退。その後アイドルを続けて、色々ありまた受験。合格するも入学金があれば起業できると思い社長になる。
意味が分からない。
そんな里咲社長の音楽がすごく良い
経歴や肩書の面白さだけでも人が注目しそうなのに、そんなのどうでもよくなるくらいに曲が良い。
ね。聴いている我々にとってはすごくくだらない恋愛の話の曲だが、曲中の少女にとっては「くだらない、けど世界のすべて」という感覚なのがよく伝わってくる。
歌詞の作りがとても上手だ。恋愛を沼に沈んでいく感覚に例える人がいるが、この曲の中の少女もまさに恋愛の沼にはまっている。最初は「恋してはいるものの・・・」というような少女の気持ちが後半には「心臓が壊れそうなくらい恋してる」くらいの気持ちになっている、と。
その気持ちの変化を「先にスタスタ歩くところが嫌い」という歌詞で表現しているところもすごく良い。最初の「先にスタスタ歩くところが嫌い」の意味はそのままの意味での「嫌い」。しかし最後に出てくる「先にスタスタ歩くところが嫌い」は、一緒に歩きたいという気持ちが大半を占めていることが分かる。
また、ゆっくり恋愛の沼にはまっていく様子を曲調でもきちんと表現できているところも完成度が高い。微妙な気持ちの変化を。全然共感できないけどすごく良くできていて、感動できる曲だ。
そもそも音楽に求めるのは共感じゃないよ。若者の「この曲めっちゃ共感できて歌詞良い!」みたいな感想を時々見ますが心底気持ち悪いなと思う。最近は「共感できてノリがよければ良い曲」という風潮があるのだろうが・・・うーん・・・
ギター一本の音楽
最近のアイドル界隈でTOKYOという文字をよく見る。モーニング娘。‘16の新曲「Tokyoという片隅」大森請子(彼女はアイドルではないが)の「TOKYO BLACK HOLE」そして里咲りさの「TOKYO TELECA」どれにも共通して表現しているのは東京という街の冷たさのように感じる。中でも里咲社長の曲はギター一本ゆえなのか、孤独感が浮き立って聞こえる。
この曲もまたすごく歌詞が良くて・・・リリイベのインストアライブでこの曲を聴いた時、涙が出そうになったよ。人のぬくもりをところどころで表現しているのも相まって、東京で一人取り残された感覚が伝わる。それをギター一本という表現方法が加速させて。
またこの曲、観覧車に乗りながらMVを撮影しているのだ。観覧車はほとんど誰か大切な人と乗るものではないのだろうか。そこに一人で乗ることによって疑似的な東京という空間を作れている。センスがすごいよ。
おもちゃ箱のような人
トークを聴いていると明るい人かと思ったら、曲を聴いているとそうじゃないのかなと思ったり。色々面白い人だ。彼女はおもちゃ箱のように、色々な面白さや曲の良さを感じさせてくれる。
しかし、同じおもちゃ箱で何年も遊ぶことはできるのだろうか。里咲りさを「おもちゃ箱のような人」と言ったが、どちらかというと「自分をおもちゃ箱であると感じている人」の方が近い。自分の音楽が消費されていく感覚が分かっているというか。だからこそTOKYO TELECAのような孤独感や冷たさを表現できているのかもしれない。でも里咲社長の音楽はすごく良いのでどの時代でも聴く人は聴く。私も良い音楽は好きだし。
なにより\社長がいちばんかわいいよー/